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(発行日 2025年10月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


 現代書道確立の黎明期に活躍した竹田悦堂氏は、多くの書道に関する書籍を残しています。その一つに「書道学び方教室・楷書編」があり、その冒頭部分にちょっと目を引くコメントがあります。生活のすべてに応用が利くと思われるので、是非紹介させて下さい。
 竹田悦堂氏のコメントです。「上達には確かに秘訣というものがあります。しかし、そんなにむずかしいものではないのですが、なかなか実行しにくいものです。しかし誰でもこれだけは実行すれば必ず上達するものです。」そして、次の7つの項目を挙げています。
 ①やる気を起こすこと、②習字の「場」を作ること、③基本練習はしっかりしよう、④正しい姿勢で書くこと、⑤根気よく続けること、⑥良い手本をたくさん見ること、⑦参考書を読むこと、⑧自信をもつこと
 ちなみに、皆さんは、この原稿を見て、フーンと思いますか、それとも目を輝かせますか?

 

今月のトピックス

「養子」の税務上の取扱に注意しましょう

税理士  坂部 達夫  


1.はじめに

 
日本の民法における養子には、「普通養子」と「特別養子」の2種類があります。普通養子とは、養子縁組によって戸籍上の親子関係を形成する制度で、実親との親子関係を維持したまま、養親と法的な親子関係を築くものです。これに対して特別養子は、原則として実親との法的な親子関係を完全に終了させる制度で、子の福祉のために用いられるものです。普通養子は主に家制度の継続を目的として利用されることが多く、例えば家業の承継や、跡継ぎの確保などの目的で行われます。本稿では、普通養子の、特に税務上の注意点について述べてみます。

2.普通養子の法的な位置づけ

 養子縁組が成立すると、養子は養親の嫡出子として扱われます(民法第809条)。そして、相続や扶養義務、遺留分といった民法上の権利義務が発生します。普通養子縁組は、養親と養子の間に親子関係が成立しますが、当事者の合意と一定の要件が満たされれば、成人間でも養子縁組が可能です。また、養子が未成年者である場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要です(民法第798条)。
 普通養子縁組の成立には、市区町村への届出が必要であり、届出によって法的効力が発生します(証人が2人必要)。届け出が受理されると、戸籍にも反映され、養子は養親の戸籍に入籍します。なお、姓は原則として養親の姓に変更する必要があります。

3.税務上の一般的な取り扱い

 普通養子縁組は、税務の分野、特に相続税と贈与税の計算において重要な影響を与えます。相続税法においては、養子も実子と同様に相続人と認められます(相続税法第15条)。したがって、普通養子は法定相続分を持ち、相続税の基礎控除や税額控除の対象にもなります(税の圧縮効果は大きい)。ただし、養子縁組の乱用を防ぐために、相続税法では控除の対象となる養子の数に制限が設けられています。具体的には、被相続人に実子がいる場合、相続税の基礎控除や税率区分の適用において控除対象となる養子は1人まで、実子がいない場合は2人まで(だから夫婦養子が多い)とされています(相続税法第15条2項)。この制限を超える養子については、相続人としての法律上の地位を持ちますが基礎控除などの算定にあたっては相続人の数としてカウントされません。また、贈与税には、扶養義務の範囲内で生活費や教育費などを受け取る場合には、贈与税は非課税という取り扱いを受けることができますが、養子も扶養義務者の範囲に入ってきます(相続税法第21条の3第2号)。

4.「孫を2割加算」がわかりづらい

 税務上の2割加算制度とは、相続または遺贈によって財産を取得した人が、「被相続人の一親等の血族(子・父母など)」または「配偶者」以外である場合、相続税額の2割(20%)が加算される制度です(相続税法第18条)。
 この規定があることから、節税を目的として孫を養子にするケースが目に余ったので、孫やひ孫などは養子であっても、2割加算の対象となる改正が行われました。ただし養子にした孫の親が既に死亡していて、代襲相続人となる場合には、その孫に対し2割加算の適用はありません(相続税法第18条2項)。
 一方で、孫やひ孫などの直系卑属以外の親族(例えば、弟や妹)あるいは親族以外の者(他人)を養子にした場合には、2割加算の適用はありません。ちなみに、弟夫婦や妹夫婦を養子に迎えるケースをたまに見かけます(民法793条により自分より一日でも遅く生まれたものは養子にできます)。被相続人に実子がいない場合、弟夫婦や妹夫婦のように2人までは、子供として税務上の恩典を受けることはできます。この場合には、姻族である弟や妹の配偶者に財産が流れることは想定しておいたほうがいいです。



私のオススメ       「 秋のお勧め映画 」

 
 秋の夜長に見たい映画、『インターステラー』をお勧めしたい。
 ダークナイトやインセプションといったメガヒットを記録した巨匠クリストファー・ノーラン監督の作品で、SF映画の超大作である。地球は住めない星になる。人類はその存続のため移住可能な惑星を探し当てなければならない。ヒューマンドラマとしても完成されているが、監督の徹底したリアルへのこだわりがこのSF映画を支えている。合成に頼らず、大規模セットを組んでの撮影やアイスランドなどで撮影されたこだわりの映像は、10年以上前の作品でありながらチープさを一切感じさせない。また科学的考証も素晴らしく、徹底した相対性理論に基づいた表現は映画でありながら、後に科学論文として発表されたほどである。特にブラックホールの表現は息を呑むほどの映像美で一見の価値がある。SFというジャンルを超えてお勧めできる素晴らしい作品である。



 

あとがき
 元々買い物は苦手である。2年前にネットで購入したダウンコートを1シーズン着倒したが、春に「不良品だったため回収」となり全額戻ってきた。一瞬ラッキーと思ったが、それ以降気に入ったものが見つからず、処分せずにいたヨレヨレのダウンでつないでいる。今年は早めに動いてヨレヨレを卒業しなければ・・冬は目の前・・(喜志)


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