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(発行日 2023年7月14日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


 「整理整頓」が、今までの気持ちの整理、さらに今後の予定の成就にとって有用なのは十分わかっています。自分を振り返ってみると、自分と同様に今一歩が踏み出せない人も多いのだろうと勝手に想像できたりします。そこで、私のお気に入りの書籍の紹介です。『たった1分で人生が変わる片づけの習慣 小松 易 中経出版 2011.11』です。こんなコメントが印象的な本です。「あなたの身の回りの状態があなたの未来の状態です。」
 未来を好転させるポイントは、「変化を恐れないこと。」「準備されたところにチャンスが来る。」「何を捨て、何を残すか。」などを挙げ、なかなか説得力のある内容です。私は、「論理的な思考力」の源泉は「整理整頓」にあると思っています。一度手に取る価値のある本だと思います。

 

今月のトピックス

中小企業の再生と廃業 

ひいらぎ総合法律事務所  弁護士 清水 祐介  


1.経営者保証の問題~事業承継と廃業、事業再生の接点

 経営者の高齢化が進むなか、赤字会社について、会社全体の承継は無理としても、せめて良い部門、技術、得意先など一部だけでも承継したうえで、廃業したいというニーズが増えています。しかし、良い部門だけを「切り売り」して承継できたとしても、残りの部門の廃業が問題です。債務超過で金融債務を完済できず、社長は連帯保証債務の履行を迫られるので、自宅を失ったり、自己破産の危険があります。
 連帯保証債務の問題を解決しない限り、展望がなくてもやめるにやめられず、次第に疲弊していくことになってしまいます。事業承継の問題が、事業を承継させた後に残余を廃業する問題となり、それは社長の個人保証の問題になる、ということです。
 従来、社長の個人保証が意識されるのは、破産や民事再生など「事業再生」の局面でしたが、近時は、「事業承継」のためにも社長の個人保証を解決する必要があることが意識されるようになっています。

2.経営者保証に関するガイドライン

 2013(平成25)年に、経営者保証の処理についてガイドラインが公表されました。一定のルールに基づき、破産手続によることなく、経営者の保証債務を解決するためのガイドラインです。制定から10年を経て、近時では定着してきています。自宅を残せる例があり、注目されています。

3.過剰債務問題

 加えて過剰債務問題が指摘されています。コロナ禍において多数の企業が打撃を受ける中、倒産を防ぐため様々な施策が講じられました。返済の必要がない補助金なら良いのですが、無利息無担保の「ゼロゼロ融資」は、その返済が始まります。社会保険や消費税など、公租公課の支払が猶予されていた場合は更に深刻です。新たな事業活動を継続しながら、過年度の公租公課を納めていくことは困難です。

4.中小企業の事業再生等に関するガイドライン

 このような問題意識の中で、2022(令和4)年4月から、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の適用が始まりました。金融界・産業界を代表する者が、中立公平な専門家、学識経験者とも議論を重ね一般社団法人全国銀行協会を事務局として取りまとめた権威あるガイドラインです。

5.平時と有事、再生と廃業

 中小企業の事業再生等ガイドラインは、中小企業と金融機関の信頼関係を重視しており、「平時」から金融機関に対する誠実性、透明性が求められます。そのうえで、「有事」に至った場合、金融機関と協力して早期に解決し、手遅れになって破産するような事態を避けようとする私的整理の制度です。
 負債をカットして事業を継続するための私的整理は、これまでも様々な手法がありました。しかし廃業については、これまで法的整理以外の手段がなく、このガイドラインは法的整理を避けて廃業する制度として画期的です。実際に廃業型ガイドラインの利用が多数始まっています。

6.税理士との連携、専門家との連携

 第一に、ガイドラインのいう「平時」の重要性です。日頃から金融機関との間で情報を共有し、会社の財務状況について透明性を心がけ、金融機関との間で信頼関係を構築することが望まれます。
 第二に、「有事」については、病気と同じで早期発見、早期対応が大切です。過剰債務の懸念があれば、税金滞納など深刻な状況に至る前に、事業再生に知見のある専門家に相談する機会を早期にもつことが望まれます。
 第三に、そのためには経営者と日頃から接点のある顧問税理士など士業との間で意識を共有することが重要です。金融機関との「平時」の信頼関係構築においても、万一の「有事」における専門家への紹介ルートとしても、税理士ほか士業と経営者の連携が従来以上に重要になっていくと考えています。ガイドラインが定着し、事業再生を果たす企業が多いことを願っています。

 金融円滑化法(2015(平成25)年に終了)以降、金融機関が資金繰りに一定の配慮をするようになり、元本の支払いを停止して利払いだけを継続するケースは珍しくありません。事業を継続して利息を支払っているうちは良いのですが、廃業すると債務超過であり、銀行融資を完済することができず、代表者の個人保証が現実化します。会社が払えない債務について社長個人が完済することを求められ、自宅を失ったり破産の危険があります。


私の部屋       「 プチトマト 」

 
 お弁当のふたを開けると、プチトマトが入っていました。それもとても小さい。“プチ”トマトなのですから、小さいのは当たり前なのですが…。
 そもそも大きい方が良いのか小さい方が良いのか。お弁当への詰めやすさを考えると小さい方が良い気がしますが、味わいを重視すればそれなりに大きい方が良い気がします。“プチ”の部分を優先するか“トマト”の部分を優先するかで基準は変わりそうです。
 その判断基準は結局のところ消費する者にゆだねられる気がします。つまり、自分の中の理想のプチトマトを見つけるのが大事なのかもしれません。ちなみに私は小さいプチトマトが好きです。見た目がかわいいから。


 

あとがき
 ありのままの自分を否定されるほどつらいことはない。一方、自分と違う生き方、考え方を受け入れられない人もまだまだいるようだ。まずは相手を理解しようとすることが大切なのでは・・。ryuchellさんのご冥福を祈る。(喜志)


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