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(発行日 2018年5月10日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに


代表取締役・税理士  坂部 達夫

 「社会人になって、まず心がけることはなんだと思いますか?」何人かの学生さんと話をしていた時に投げかけた言葉です。一瞬の沈黙後、一人が「礼儀作法と素直な対応ですか?」 もう一人は、「状況に合わせた調和がとれた行動かしら?」 しっかりしているという感じを受けました。そして、期待を込めた視線を感じつつ慎重に答えました。「まず、疑うところから始めて下さい」。
「え、なんなの?」皆の眼が点になるのがわかりました。「ネットやテレビはもちろん、新聞や本も間違っていることを前提に受け入れるといいですよ」。これをクリティカル・シンキング(批判的思考)といいますが、他人の人格や状況を受け入れた上で、その目的に照らして自分自身や環境を見直す癖が社会人には必要なのです。今の若い人は、親やマスコミの言うことを無批判に受け入れることは少ないとは思いますが、この思考の積み重ねが、能力向上や人格の陶冶に深く結びついていることを知る人は少ないようです。

 

今月のトピックス

血糖自己測定技術の変遷 2


ノースカロライナ大学チャペルヒル校
      医工学専攻教授  早出 広司

 

 前回は「血糖自己測定」について、Self Monitoring of Blood Glucose; SMBGと、Continuous Glucose Monitoring (CGM) System「持続血糖測定器」についての概略をご紹介いたしました。今回は、血糖計測技術の原理について紹介いたします。

血糖計測技術は酵素測定法と呼ばれる技術の範疇です。血液中のグルコースを対象として特化した分析技術としては、試験紙を用いた発色法と電極を用いる電気化学法の二種に大別されます。現在のSMBG技術の主流である電気化学法は1950年代にアメリカで発明され、その後、普遍的な酵素分析法として定着しました。
一方で発色法は1970年代にグルコース試験紙として市販され、これを個人が使える計測機器として分析機器と組み合わせた最初のSMBGが、電気化学法よりも早い時期にアメリカの企業によって市場に登場し、糖尿病患者さんが個人で血糖値管理にSMBGが使える時代を迎えました。その分析機器を供給していたのは日本企業でした。電気化学計測法は、初期の発明によって支えられた技術は、個人用の計測技術というよりも、検査センター等で用いられる標準機器として発展し、現在でも標準工程として採用されています。
この時に用いられていた分析用の酵素は「グルコース酸化酵素」と呼ばれ、グルコースを酸素の存在下で酸化するとともに、生成する過酸化水素を酵素発色法あるいは電極上で電気化学的に検出する原理でした。この原理を第一世代と呼んでいます。
この方法は現在も採用されていますが、装置の小型化や大量かつ安価にSMBG測定機器製品として普及するためには不向きでした。そこで開発されたのが第二世代、電子メディエータ型の原理です。この原理では酵素がグルコースを酸化するときにそこから電子を受け取る酸化還元色素という化合物の一種を酸素の代わりに用いることを特徴としています。この電子を受け取った化合物が電極上で一定の電位を印加することで電流を生じます。
このように酵素と電極の間を介在する化学物質を使っていることから、この化合物を「メディエータ」とよび、第二世代はメディエータ法とも呼ばれています。この第二世代の登場によって、第一世代の主役であったグルコース酸化酵素に代わってあたらしい酵素が台頭してきます。グルコース脱水素酵素とよばれる酵素であり、これは酸素との反応は一切せず、メディエータとしか反応しません。
したがって、通常の大気下では常に酸素が存在しているため、グルコース酸化酵素を第二世代型の測定原理に用いると酸素とメディエータとの間に競合がおこり、測定条件によっては測定の信頼性が低くなります。これに対してグルコース脱水素酵素は酸素の影響を受けないために、常に安定した測定結果が得られます。この新しい種類の酵素が登場したことにより、それまでは考えられなかったような容量の血液試料で血糖値が計測できるようになりました。
これは優れたメディエータと高い活性を示す酵素が開発され、さらに印刷技術や半導体技術の進展と相まって、大量に精度高く小型で高性能なSMBG計測機器とその使い捨て電極、センサーチップが製造できるようになったことで、利用者が拡大し、それに伴いSMBG市場は拡大の一歩をたどっています。
また、前回ご紹介した持続血糖測定器(CGM)に使うセンサーにおいても同じような計測原理が採用されています。特に、現在の主流は第一世代型、グルコース酸化酵素を用いる原理です。さらに次回ご紹介する、二週間連続装着測定が可能な最も新しい血糖自己測定器においては、第二世代の原理が採用されています。
これらのセンサは皮下に埋め込むこと、さらにその計測を連続的に行うことなどから、センサ自身が長寿命化されていること、生物学的にも安全な材料で構成されていて皮下に挿入できること、連続的に計測および計測結果が記録できる優れたソフトウェアとインターフェイスが開発されていること、さらにSMBG機器との連携がなされていること、など、持続血糖機器の開発はこれまでのSMBG機器開発、製品、それに基づく糖尿病治療によって獲得されてきた経験値、知識と技術の蓄積によって達成されました。

第三回はこういったSMBG機器の急速な発展と普及に伴って出てきている課題とマーケットの動向、さらにCGM技術の発展とともに、これまでの血糖計測技術の集大成とも呼べる人工すい臓についてご紹介いたします。


私の部屋    「ほどほどが一番」

 先日、テレビ番組で、カードのように平らな状態から球体に変化するポップアップカード(飛び出すカード)が紹介されていました。検索してみると、ある作家さんが制作している作品だとわかり、販売のほかに一部型紙を公開しているので、自分でも作ることが出来るとのことでした。
「休日は時間を持て余す」、という最高の贅沢を謳歌すると決めている私ですが、どのような仕組みになっているのか気になってしまい、商品として販売されている作品ではなく、型紙付きの書籍を購入して自分で作ってみることにしました。細かく描かれた型通りに切り抜く作業に没頭すること2日間、遠目で見ればそれなりの物が出来上がりました。作家さんの凄さを実感するとともに満足感を得ることは出来ましたが、慣れない作業に悲鳴を上げた指と腰の痛みがなかなか消えません。何事もほどほどが一番ですね。

 

あとがき
 先日、スーパーのアルコール売り場で、「新定義ビール」とかかれた缶飲料を見つけました。これは、4月1日から酒税法が改正され、これまでビールの原料にはできなかったハーブや果実などが使用できるようになったことを受けての新商品のようです。選択の幅が広がって個人的には大歓迎ですが、いずれにしても私のやることは変わりません!これからも安くておいしいビールを探し求めていこうと思います!(坂本)

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