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(発行日 2017年4月6日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 

 なかなか思い通りにならない仕事や生活、余分な事を考えすぎ、なんとなく落ち着かない日常。つまらない我欲に囚われている自分がつらい。それらの処方箋は永遠の課題として哲学や宗教、そして心理学という分野を発展させてきました。

心理学者アルフレッド・アドラーの思想を紹介した書籍「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)を読みました。テレビドラマにもなったので、聞き覚えがあるかもしれません。今回は、この書籍について私流の解釈をしたいと思います。

 

 

今月のトピックス

アドラー理論の解釈

税理士 坂部 達夫


1.心理学の三大巨頭

 日本では心理学というとフロイトやユングの名前があげられますが、世界的にみると、彼らと並ぶ三大巨頭の一人として、アドラーの名前も必ずあげられます。欧米では、このアドラー心理学が堅苦しい学問としてではなく、人間理解の真理、また到達点として受け入れらており、「人を動かす」や「道は開ける」で知られるデール・カーネギーや「7つの習慣」を著わしたスティーブン・コヴィーにも強い影響を与えていることがわかっています。アドラー心理学は「自己啓発」の源流と言われています。



2.書籍のダイジェスト

 カバーには、次のような内容の抜粋が書かれています。
青年 「みんな自分のことだけを考えて生きている。それが現代の社会というものです。 さあ先生、お答えください。あなたはこれだけの現実を前にしてもなお、世界はシンプルだとおっしゃるのですか?」
哲人 「わたしの答えは変わりません。世界はシンプルであり、人生もまたシンプルです。」
青年 「なぜです?誰がどう見ても矛盾に満ちた混沌ではありませんか!」
哲人 「それは『世界』が複雑なのではなく、ひとえに『あなた』が世界を複雑なものとしているのです。」
青年 「わたしが?」

そして109頁には、この本の核心となる、生きる上での目標が示されています。行動面での目標は、「自立すること」と「社会と調和して暮らせること」、そして心理面では、「私には能力がある」という意識、そして「人々はわたしの仲間である」という意識の醸成をあげています。
私流に要約すると、自己を中心として自立し、能力は今ここを生き切ることに集中することにより磨いていく、その結果として社会に馴染み、他人との関係性(貢献感をもって)を良好にし、その結果として、世界観はシンプルにそして人生は充実したものになるというものです。




3.人間の本質の解釈

 また、アドラーは「人生は他者との関係性(人間関係)で決まる。」と言い切っています。その視点で考えると、全て自分を中心に考えればよいということからスタートします。

TKC全国会(約1万人の税理士・公認会計士の集団)の創始者で、飯塚毅という方がいます。飯塚先生は既に鬼籍に入られていますが、先生を主人公とした『不撓不屈』という小説(高杉良 著)が書かれ、映画化もされているのでご存じの方も多いと思います。
平成8年(私が40歳くらいの頃)、先生とご一緒する機会を得ました。近寄りがたい雰囲気に押され、200名程いた税理士たち誰一人として近寄ることができず、先生はテーブルに一人でぽつんとされていました。私は、しめたとばかりにそこに近寄り、先生を独占しました。そして、その時の事務所の経営状況、自身の経営能力・法的判断能力の欠如など、今思えば顔から火が出るような恥ずかしいことを一方的に話しました。
30分ほど黙って話を聞いていただいた後に、先生は一言、「坂部くん、君、それはやればいいんだよ。」とポソと言われたのです。その言葉に突き動かされ、その翌年、筑波大学の経営学の修士課程に入学、あまたの大学教授・学究の徒に恵まれ、仕事の質も高まり現在に至ります。ちなみに、飯塚先生は、臨済禅の印可状を受けておられ、俗にいう悟りを得ておられる方です。




4.アドラーと臨済禅


アドラーは、「人間とはなんぞや」と踏み込むとき、フロイトやユングと違い、他者との関係性を自分と区別します。他者から受ける影響を「トラウマ」などと表現しないのです。すべて、自分に原因があり、他者を含めた現象面は、自分のまいた種から生じていく。良い種をまけば良い結果が、自分がしっかり能力を磨けば、他者と一体となり良好な関係が築かれていくと説きます。飯塚先生が、「君が自信を持ってやれば、他者との関係を含めて良くなっていくぞ。」と仰ったことと相通じます。
臨済禅は、仏教宗派の一つであり、その根本思想に因果律と自己中心・自他不二の思想があります。アドラー思想は、仏教文化の遺伝子を引き継ぐ日本人に極めて馴染みやすいと感じます。いずれにしても、アドラーの思想を世に送り出してくれた「嫌われる勇気」の著者、岸見一郎さんと古賀史健さんには深く敬意を表するところです。


私の部屋    「最近ハマっています 」

 最近、高カカオチョコレート(カカオが70%以上含まれているチョコレート)が健康・美容にいいとテレビや雑誌等で取り上げられています。 
高カカオチョコレートは血圧の低下、動脈硬化の予防、認知症の予防、便秘の解消、アレルギー改善、美肌効果、ストレス緩和等の効果・効能があるそうです。それを知ってから毎日、高カカオチョコレートを食べています。ただ、高カカオチョコレートはカカオの含有量が多いため、通常のチョコレートより脂質が1.5倍くらい多く、高カロリーなので、食べ過ぎないよう気をつけたいと思います。

 

あとがき
 先日、ハナミズキの苗木を買ってきました。今まで植物を育てたことが無い私にとっては全てが初めての経験ですが、綺麗な花が咲くのを楽しみに、大切に育てていきたいと思います。(小高)

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