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(発行日 2016年4月5日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 

 桜が満開、花見の季節です。東京には皇居周辺の千鳥ヶ淵、隅田川、上野の山など、花見の名所がたくさんあります。酒を飲んで、どんちゃん騒ぎという楽しみ方が一般的ですが、こんな楽しみ方もあります。私がお世話になっている盆栽園で花見会がありました。
 親方(小林國男氏)は知り合いが多いので盆栽のお弟子さんに大工さんがいる。その大工さんと一緒に、敷地内の倉庫の屋根にウッドデッキを構えました。午前中の教室が終わった後の昼食、親方に招かれて屋根に上ると、デッキの真ん中のテーブルに「米桜」がしつらえてあり、それを囲んで昼食です。もちろん酒も出ますが、柔らかい日差しとさわやかな風を受けての花見。うらやましくありませんか?日本文化の一端を垣間見たような気がしました。



今月のトピックス


学習分析(Learning Analytics)について

特定非営利活動法人学習分析学会 理事長 
上智大学理工学部教授  田村 恭久


1.はじめに


 教育の分野において、リクルート、Z会、ベネッセなどがITを利用したビジネスを次々と始めています。これらの多くは、(1) 学習者(主に小中高の児童生徒)の手元にあるタブレットPCで教材を見たり、クイズを解く仕組みを提供している、(2) クイズの正誤判定を自動で行い、復習すべき単元や次に解くクイズを計算するような、学習者の理解度を把握し適応する機能を備えている、といった特徴を備えています。これらのビジネスは、近年の教育の情報化を背景とし、学習分析の技術を利用しているという共通点があります。



2.教育の情報化と学習分析


 従来の小中高の教育現場では、学習者の状況は教員が把握しています。テストの答案やレポートの内容から学習者の理解度を把握し、また授業中の様子を観察することで状況把握を補っています。これらはほとんど紙の情報や学習者の振る舞いから得られていました。予備校などでOMRやOCRを用いて解答データを電子化し採点を自動化する仕組みがあり、また成績表や科目履修状況など学務に関わるデータはコンピューターで処理されていますが、まだ教育全体から見ると一部です。
 2000年代になると、大学を中心としてLMS (Learning Management System)と呼ばれるサーバーが導入され始めました。LMS上に保存されている電子媒体の教科書や講義スライドが学習者に配布され、またそれらへのアクセス履歴が保存されるようになりました。また、テスト解答やレポートが学生PCで入力され、LMSに保存されるようになりました。さらに、LMSと学務システムの連携が始まり、履修登録や成績のデータが電子的に扱われるようになりました。
 2010年代になると、スマートフォンやタブレットPCを含む学習者用PCが普及し始めました。学習者の手許にPCがあることにより、教材へのアクセス、ページめくり、関連資料の閲覧など、紙媒体を用いた授業やLMSでは把握できないさまざまな細かい粒度の情報が、学習活動の履歴として収集可能になってきました。
 また、カメラ、マイク、GPSなどのセンサーから得られる情報も、学習活動に関連するデータとして扱える可能性が出てきました。今後は、リストバンド型の活動量計を用いて、心拍、血圧、発汗といった超細粒度の生理データも取得可能となるでしょう。
 こういった教育の情報化の進展により、多量の学習記録データを蓄積することが技術的に可能になってきています。このデータの分析と利活用を目指すのが学習分析 (Learning Analytics: LAと略す)です。



3.LAの現状と「未来の学び」


 LAは現在、研究成果が徐々に蓄積され、この成果が一部のビジネスに活用され始めた状況です。
 LAの研究は、2008年に始まった国際会議EDM、2011年に始まったLAKにおいて研究コミュニティが確立し、これらによって徐々に研究成果が蓄積されています。ただし、「このデータをこう分析すると、こういった知見が得られる」という、広く一般に是認されているパラメータ間の因果関係はまだ多くありません。今後も引き続き研究成果を蓄積する必要がある、発展途上の分野と言えます。
 LAの研究成果を活用した取り組みとして、大学における退学予兆者の推定があります。まず、過去の退学者の科目履修、到達状況、出席状況、メールのやりとりなどを集計・分析し、退学者特有のパターンを推定します。次に、在学中の学生に対しこのパターンを当てはめ、フォローが必要な学生を推定します。さらに、彼らに対して集中的に履修指導やメンタリングを行います。これにより、従来より退学者を減らせたという実験的な結果が出ています。
 LAを上手に活用すると、コンピューターが学習者個人の状況や理解度に応じて自動的に学習指導を行う、言ってみれば「ロボット家庭教師」が実現可能です。現状でもクイズの解答履歴をもとに、次に勉強すべき教材や解くべきクイズを自動的に選ぶ仕組みを、冒頭で述べた各社がすでに実現しています。これに加え今後は、内容理解や生理状況の把握を助ける道具として、LAが使われる場面が多くなるでしょう。


学習分析にご興味のある方は、こちらのウェブサイトをご覧ください。
http://jasla.jp/


私の部屋    「懐かしい木原線(いすみ鉄道) 」
 「菜の花畠に入日薄れ、見渡す山の端、霞ふかし」運転中にラジオから流れてきた、童謡朧月夜。千葉県南房総出身の私にとって、この歌はふるさとの原風景そのものです。高校時代は外房線を大原駅で国鉄木原線に乗り換え、2両編成の列車で大多喜駅まで通いました。乗客のほとんどが学生、貸切状態でおしゃべりに花を咲かせたものです。現在では廃線の危機を乗り越え、いすみ鉄道として、鉄道ファンだけでなく大人から子供まで愛される路線となっています。
 房総半島の里山を走り抜けるいすみ鉄道は、春は桜に菜の花、5月は新緑の緑、秋は紅葉と移り変わる様々な風景で乗客を楽しませてくれます。ムーミン列車や菜の花列車、レストラン列車などに乗って、房総の小江戸と言われる大多喜の城下町や養老渓谷などを散策するのもお薦めです。私もゴールデンウィークに母の顔を見がてら足を延ばしてみようと思います。
あとがき
 皆様はもうお花見に行かれたでしょうか?弊所の近くに錦糸公園という大きな公園がありますが、実はこの公園、都内の隠れたお花見スポットなんですよ。
 メインの桜はソメイヨシノで、160本以上あると言われています。桜も見事なのですが、なんといってもスカイツリーが大きく見えるのが人気の理由です。錦糸町駅からも近いので、お花見がまだの方は是非お越しになってみてはいかがでしょうか(坂部啓)

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