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1年単位の変形労働時間制


1.はじめに

 働き方改革により長時間労働の規制が厳しくなってきました。また、今年も10月には最低賃金が大幅に引き上げられる見込みとなり、人員の確保や人件費の問題で頭を悩ませている経営者も多いと思われます。1年単位の変形労働時間制とは、業務に繁忙期と閑散期がある場合に、繁忙期には長い労働時間、閑散期には短い労働時間を設定することにより年間の総労働時間を短縮し、労働時間も人件費も効率よく抑えることが可能な制度です。

2.制度の概要

 労働基準法上、労働時間は1日8時間、週40時間を超えると残業となり、時間外手当を支給しなければなりません。しかし、1週の平均労働時間が40時間を超えない範囲で年間カレンダーを作成し、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることによって、年間カレンダーに設定した時間内であれば1日8時間、週40時間を超えて労働させることができ、時間外手当も支給する必要がなくなります。

 

3.労使協定の項目

@ 対象労働者の範囲
A 対象期間(1か月を超え1年以内の期間)及び起算日
B 特定期間
C 労働日及び労働日ごとの労働時間
D 労使協定の有効期間

4.特定期間とは

 連続労働日数は原則最長6日までですが、「特定期間」を設けた場合は、1週間に1日の休日を確保できる日数(最長12日)とすることができます。
ただし、対象期間の相当部分を特定期間として定めることは認められません。

5.この制度における労働時間の限度

 1日については10時間、1週は52時間が限度時間です。対象期間が3か月を超える場合、次のような制限があります。

@ 対象期間中に、週48時間を超える設定は連続3週以内
A 対象期間を3か月ごとに区切った各期間において、週48時間を超える設定の週の初日が3以内

6.割増賃金の支払い

 次の時間については時間外労働となり、割増賃金を支払う必要があります。

@ 1日の法定時間外労働→労使協定で1日8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
A 1週の法定時間外労働→労使協定で1週40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は1週40時間を超えて労働した時間
 (@で時間外労働となる時間を除く)
B 対象期間の法定労働時間外労働→対象期間の法定労働時間総枠(40時間×対象期間の暦日数÷7)を超えて労働した時間
 (@またはAで時間外労働となる時間を除く)

 

7.おわりに

 閑散期のゆとりある時間を削って繁忙期に使わせてもらえる合理的な制度ではありますが、一方で、設定した時間よりさらに残業が発生するとなると、労働時間の管理や時間外手当の計算等が煩雑となります。設定した時間内で業務を終えられるよう、人的配置等も併せて考慮いただけるとよいかと思います。
 対象期間の途中入社や退職の際の給与計算方法、労働者10名以上の事業場については就業規則への記載が義務付けられている等々、ご案内しきれなかったルール等もいくつかございますので、導入を検討される前に1度ご相談ください。

 

( 喜志 久美子 )

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