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所得拡大促進税制を活用しよう!

1.はじめに

 業績好調により思いのほか納税が予想される時に、経営者から「何かいい節税対策ってある?」と尋ねられる事があります。生命保険や備品の購入等での節税対策もありますが、会社にとって必要の無いものに支出するというのは本末転倒です。そんなときの1つの選択肢として、会社の重要な財産である従業員さんに還元する方法を検討してはいかがでしょうか。好業績をもたらした従業員に対して給与・賞与を増額し、利益を還元することでモチベーションや帰属意識は高まります。ですがメリットはそれだけではありません。会社からすると、増額した給与・賞与が経費になるだけでなく、一定の要件を満たせば法人税から税額控除を受けることが可能になり、効果的な節税対策にもなるのです。


2.概要

 所得拡大促進税制は青色申告書を提出している法人(または個人事業主)が、給与や賞与の支給額を規定の割合以上増加させる等の要件を満たせば、増加額の10%(※)を法人税額(または所得税額)より税額控除できる制度です。この制度には事前の申請などは必要なく、決算を終えてみて結果的に要件を満たしていれば適用可能です。適用期限は平成30年3月末までに開始する事業年度までですので活用するチャンスはまだあります。
 ※ 法人税額の10%(中小企業等は20%)が上限
 

3.適用要件

@ 雇用者給与等支給額が基準事業年度より一定割合以上増加

 雇用者給与等支給額とは、適用を受けようとする事業年度の国内雇用者への給与や賞与の支給額です。これはパートやアルバイトへの給与等は含まれますが、使用人兼務役員を含む役員や役員の親族等への給与等は含まれません。
 基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度のことです。例えば9月決算の場合、平成24年10月から平成25年9月の事業年度です。この基準事業年度と比べて平成28年度では4%(中小企業等は3%)、平成29年度では5%(中小企業等は3%)以上増加しているかどうかです。

A 雇用者給与等支給額が前年度以上

 適用を受けようとする事業年度の雇用者給与等支給額が、前事業年度の雇用者給与等支給額(比較雇用者給与等支給額)以上であるかどうかです。

B 平均給与等支給額が前事業年度を上回る

 適用を受けようとする事業年度とその前事業年度において給与等の支給を受けた国内雇用者のうち、雇用保険法の一般被保険者に係る金額を合計し、その金額から高齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象者に支給された給与等を差引いた金額を「継続雇用者給与等支給額」と言います。
 各月ごとに給与等の支給の対象となる継続雇用者給与等支給額に係る継続雇用者の数のことを「月別支給対象者数」と言います。同一月に2回以上の給与等の支給があった場合も、その月の継続雇用者数は一人と数えますので、例えば1年間勤務した継続雇用者に対して6月と12月に賞与を支給したとしても、その者に対する月別支給対象者数は「12」となります。
 上記で算出した「継続雇用者給与等支給額」を「月別支給対象者数」で割った金額が「平均給与等支給額」です。前事業年度も同様の計算を行い、前事業年度よりも上回っているかどうかです。


4.まとめ

 適用要件が複雑だと感じるかもしれませんが、要するに給与支給額が増加されていれば適用できる可能性は高いです。給与支給額の増加といっても、新たに人を雇用したことによってだけの増加ではなく、既存の従業員(特に雇用保険の被保険者)に対しての支給額増加をしないと適用要件Bは満たされません。ですので、まずは基準事業年度・前事業年度の給与支給額を把握しておく必要があります。なお、新設法人などで基準事業年度・前事業年度が無い場合、設立事業年度で雇用者給与等支給額を1円以上支給していれば必ず適用要件を満たします。
 法人税の税額控除ということは、法人税額を課税標準とする地方法人税、法人住民税の法人税割や外形標準課税における付加価値割にも節税効果があります。是非ご活用下さい。

(注)雇用促進税制との併用適用はできません。


                                     ( 小高 誠和 )

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