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年少者の労働

1.はじめに

 先日まで行われていたバレーボールのテレビ中継をみておりましたら、あるアイドルグループが応援団として登場していました。試合が長引き、終了が午後10時を回ってから画面に映ったアイドルは、最初は5人いたのに4人になっていました。怪奇現象ではありません。一緒に見ていた娘によくよく聞いてみたら、そのいなくなった人はまだ16歳とのことでした。これは年少者の労働に関係しているなということで、年少者の労働法制について改めて調べてみました。


2.年少者とは

 労働基準法では年少者について、以下のように規定しています。
 年少者:満18歳未満の者
 児 童:満15歳の年度末(満15歳に達した後の最初の3月31日)が終了するまでの者

 ちなみに「児童」は法律によって定義が異なっており、例えば児童手当法では、満18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいいますが、学校教育法によると小学校に在籍する者を児童、中学校・高等学校に在籍する者を生徒と区別しています。

 話を戻しますと、労働基準法の規定では、原則として満15歳の年度末が終了しない児童を労働者として使用することができないことになっていますが、次の要件を満たした場合は13歳以上の児童を使用することができます。

 @ 児童の健康及び福祉に有害でないこと
 A 労働が軽易なものであること
 B 労働基準監督署長の許可を受けること
 C 修学時間外に使用すること
 D 非工業的業種の事業であること

 さらに、非工業的業種のうち「映画の製作又は演劇の事業」である場合は、満13歳未満の児童を使用することができます。


3.特別な規定

 年少者を使用する際に気を付けなければならないポイントは以下の通りです。

@ 年少者の証明書

 使用者は年少者を使用する場合、その者の年齢を証明する証明書(年齢証明書)を事業場に備え付けなければなりません。具体的には住民票記載事項の証明書等を指します。  さらに、児童を使用する場合は、修学に差支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければなりません。

A 深夜業

 原則として、年少者を午後10時から午前5時まで使用することはできません。
 児童の場合は、午後8時から午前5時まで使用できません。ただし、演劇の事業に使用される児童が演技を行う業務に従事する場合は、午後9時から午前6時までとなります。

B 時間外及び休日労働

 年少者に時間外及び休日労働をさせることはできません。

C 労働時間

 下表のようになります。

 区 分  児 童 児童以外の年少者
(一般と同じ) 
 1 日 休憩時間を除き
修学時間を通算して7時間 
 休憩時間を除き8時間
 1週間 休憩時間を除き
修学時間を通算して40時間
 休憩時間を除き40時間

児童の修学時間を通算してというのが特徴的です。

4.おわりに

 年少者は心身ともに発達途上であるため、さまざまな保護規定が設けられています。たとえ本人が年齢を詐称していたとしても、確認する義務は会社にあるという通達もありますので、公的な書類を提出させ確認する必要があります。

 はじめに触れたアイドルは、労働基準法上は年少者であり、午後10時以後の深夜労働に従事することができないためテレビに映ることはできなかったということですね。彼らは毎年年末に年越しのイベントにも出演していますが、年少者の彼がこのステージに立つことができるのは、18歳に達した年の年末ということになりそうです。

(坂本 幸恵)

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