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日本版ISA(NISA)

1.はじめに 

 金融商品に伴う所得に対する課税方法は、平成15年の政府税制調査会において、金融所得課税をできる限り一体化すべきという方向性が示されてから様々な検討が進められてきました。
 なお金融所得課税一体化の目的としては、@貯蓄から投資への政策要請の下での投資環境の整備、A金融商品間の課税の中立性確保、B簡素で分かりやすい税制の確立、C投資リスクの軽減が掲げられています。
 その後平成22年度の税制改正において、当時も軽減されていた上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等に係る税率が、平成24年から本来の20%に戻される予定であったことから、個人の株式市場への投資を促進するという観点も考慮し、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置を導入することとされました。しかしその後、税率の軽減期間が平成25年12月31日まで延長されたことにより、非課税口座の創設も延期されていました。
 そして平成25年12月31日をもって延長された軽減税率も期限切れとなり、平成26年分から税率が20%に戻されるため、ようやく非課税口座の創設も実施されることとなります。この非課税口座がいわゆる日本版ISA(NISA)といわれるものです。
 ここではこの日本版ISA(NISA)と呼ばれる非課税口座制度の概要と留意点を申し上げます。


2.制度の概要と留意点

(1)非課税となる所得
@ 概 要
・非課税口座内の株式投資信託や上場株式等の分配金及び配当金等による配当所得。
・非課税口座内の株式投資信託及び上場株式等を売却した場合の譲渡所得等。
A 留意点
・配当金を非課税とするためには、受取方法を「株式数比例配分方式」にする必要があります。
・大口株主が受け取る配当金は非課税対象とはなりません。
・株式投資信託等の特別分配金は非課税口座でなくても課税されません。
・非課税口座内の株式等を売却した時に損失が生じた場合でも、他の所得との通算はできません。
・売却以外の理由により非課税口座から株式等を払い出した場合(口座の廃止、他の口座への移管等)、その払い出しは譲渡とみなされ、譲渡所得等は非課税となりますが、払い出した株式等の取得価額は払い出し時の時価に置き換わることとなります。
・非課税口座内に入れることのできる株式等は、非課税口座を開設した金融機関等を通じて購入できるものに限られますので、非課税口座を開設した証券会社や銀行等によって、非課税口座に入れることのできる金融商品の範囲に違いが生じます。

(2)非課税口座開設要件
@ 概 要
・非課税口座を開設する年の1月1日において20歳以上であること。
・居住者(日本国内に住所等がある者)、若しくは国内に恒久的施設を有する非居住者であること。
A 留意点
・同時に複数の金融機関で非課税口座を保有することはできません。
・口座開設時に基準日(原則:平成25年1月1日)における国内の住所を証する書類として住民票等の提出が義務付けられています。

(3)口座開設期間・非課税限度額
@ 概 要
・平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間に口座開設が可能です。
・上記の口座開設期間中、毎年1口座(1年あたりの非課税限度額100万円)に限り開設が可能ですが、同時に利用できる累計非課税限度額は500万円となります。
A 留意点
・非課税限度額の利用は新規資金での投資に限られますので、既に特定口座や一般口座等で保有している株式等を、そのまま非課税口座内に移管することはできません。
・100万円の非課税限度額を1年間で使い切らなかった場合でも、翌年以降に未使用の非課税限度額を繰り越すことはできません。
・平成25年中に口座開設の申込受付が開始されます。

(4)非課税期間
@ 概 要
・非課税口座を開設した年の1月1日以後5年間は、(1)@に掲げる所得について非課税となり、これらの所得について確定申告を行う必要はありません。
・非課税期間(5年)経過後は新たな非課税口座に移管することで、非課税期間を延長することが可能です。
A 留意点
・新たな非課税口座に移管する場合は、移管時において口座開設期間内であること並びに累計非課税限度額の500万円及び1年あたりの非課税限度額である100万円を上回らないことが要件となりますが、限度額の判定は移管時の時価に基づいて行うこととなります。
・非課税期間終了後は、非課税口座内にあった株式等の取得価額が非課税期間終了時の時価に置き換わることとなります。したがって、非課税期間中に時価が下落した状態で非課税期間が終了し、その後特定口座等に移管した後で時価が上昇した時に売却した場合は、売却価額が当初の取得価額を下回っていたとしても、非課税期間終了時の時価を上回っていれば譲渡所得等が生じることとなります。


3.総 括

 この制度では、非課税口座に入れた金融商品に係る配当所得、又は譲渡所得等が多いほどより大きなメリットとなり、逆に時価の下落等による損失が生じた場合にはデメリットとなる可能性もあります。
 したがって配当利回りが大きく、さらに原則5年以内の時価上昇が見込まれる金融商品を非課税口座内に入れることが、より大きなメリットを受けられる条件となりますが、この制度は個人が中長期の比較的小規模な投資を行うにあたって利用することを想定していますので、この点も踏まえたうえで活用方法を検討することが必要といえます。

                                   (文責  遠藤 剛彦)

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