会長コラムCOLUMN
第55回 「こっちでよかったですか」 2025.8.14
「あなた」に向かって「こっちでよかったですか?」と不安げな目をして尋ねるダックスくん。
「あなた」は自信をもって「こっち」と答えられますか?この世界は自分の思い通りにならないことばかりです。希望と目標を胸に生きようと思っても、生活環境はそんな思いを打ち砕くかもしれません。辛抱して頑張っても、報われるとは限らない。さらに、うだるような暑さが続くかと思うと、水不足さらには集中豪雨です。連日のニュースを見ても、自然環境も落ち着ける状況ではなさそうです。そんな不安な中にあって、ダックスくんはあなたに縋るように尋ねるのです。「本当にこっちでよかったですか?」
「希望と夢をもって」生きるとすると、それは様々な環境に影響され、気持ちが大きく揺れ動きます。
「希望や夢」は、自分がありたい姿であり、相対(自分から離れた)の対象です。妄想であるかもしれないのです。ならば、相対から離れた実態に絶対はあるのかと言うと「あります。」それは、自分(自らの主人公)です。ダックス君のように、「老いて、病を得て、死ぬ」存在であっても、それは自分が原因を作って、その結果を受けているだけ、永遠に変わらない「自己」はある。それを自覚して、説いてくれたのが「お釈迦さま」です。
じゃあ、迷わず生きられる処方箋はあるのかというと、どうも自分自身の内面にあるようです。僧侶をはじめ多くの方が、その処方箋を求めて生活されていますが、それは「希望や夢」ではなく、自己がありたい姿を強く思う「願い」にあるようです。力強い信念(宗教的信念)を持つ方は、「世の中には偶然は無く、欲と執着から離れる」ことを意識されているといいます。
ダックス君は、あなたの周囲にいる身近な人であると同時に、あなたなのかもしれませんね。