所長コラム

第42回 「ブランカとギター弾き」映画評 2018.01.31

 2015年に公開された長谷井宏紀監督による映画作品を紹介をします。
 この作品はフィリピンでオールロケされました。そして第72回ヴェネチア国際映画祭でマジックランタン賞/ソッリ−ゾ・ディベルソ賞の2冠を獲得し、その後さまざまな賞を受賞しています。


−あらすじ−
 主人公は11歳の孤児のブランカ(女の子)。路上で暮らし、窃盗や乞食をしながら暮らしている。その彼女が思いついたことは、窃盗や乞食でも金を得て、母親を買うことでした。そうすれば、普通の家に住み、学校へ行けると。
 そして、その母親を手にいれる旅の途中で出会った盲人のギター弾き、ピーターを道行の伴侶に選びます。彼女はその旅の途中で様々な経験をし、ピーターの愛情により荒んだ心は癒されていきます。


 フィリピンの猥雑な路上も決して「貧民街」ではなく、カラフルで活気にあふれる舞台のように思えます。特に、ブランカのオレンジとピーターの青のコントラストが印象的です。
 ブランカが生きる日常は確かに過酷であり、見ようによっては目を覆いたくなるような悲惨な影に覆われています。その悲惨に見える彼女の一挙手一足投、表情にささやかな喜びときらめきを見出せるのは、監督兼カメラマンの感性と技量によるものに違いありません。
 ブランカは、旅の途中で人を思いやることを学んでいきます。母親を買うことや人のものを奪って人を傷つけるよりも、今のこの世界の在り方をその体と心いっぱい使って受け止めることを選ぶのです。
 そんなブランカの笑顔が輝いて見えるのは、あるがままの環境に純真な目で向き合い、ピーターをはじめ多くの人たちのさまざまな思いを受け止め、行動しているからに他ならないと思います。そして、その純粋な歌声が物語に深みを与えているように思いました。一見の価値ありです。4つ星。

 
                     

 

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