会長コラムCOLUMN

第41回 「四十年まえの成人式」 2018.01.12

成人の日は、今年は1月8日でした。成人の日に「今日から大人です」と言われて、ピンとくる人間ははたしているのでしょうか。
 私は、明治大学2年生の時に二十歳を迎えました。もちろん将来の自分など見えようもない。住民登録されている静岡県沼津市の役所から、成人式のなにがしかの案内が来ていたような気はしますが、封を開けた記憶すらありません。思い起こすと、漠然とした劣等感と故郷に背を向けた後ろめたさ、それと東京という新天地で何かがリセットができるのではないか思いがないまぜになったいたころだと思います。その未来に向けた甘美な思いと荒涼とが広がっていた寂寥感が日々を突き動かしていたのは確かです。いったい何のために自分は存在するのかという純粋な問いかけはあったような気がします。

 それから四十年を過ごし今を冷静に見ると、自分を取り巻く人達や仕事、あるいは趣味などに依存していることが改めてわかります。そこで若い君たちに私からの提案が一つあります。一番安いチケットで故郷へ帰りなさい。東京で生まれ育った人なら、富士の見える山梨まで行って帰ってきなさい。途中で金がなくなったら、その足で歩くといい。その土地には、日本があり、世界があります。自分の足で見知らぬ土地を歩き、自分の目で、自分の耳で、自分の舌で、自分の肌でその世界に触れてほしい。そこにはどんな人が息づき、生活しているのか感じ取ってほしい。その間は、テレビ、インターネット、新聞、本は触れないほうがいい。
 もしかしたら、テレビやインターネットあるいはゲームの世界に慣れ親しんでいる君が考えている世界と違うかもしれない。世界は君が考えているよりも、大きく、豊かで、また矛盾という混沌に満ち、貧しく切ないものだ。

 多くの人や物事とかかわりをもつ中で、自分が支えられている思いと依存とが混濁し、なんとなく時間が過ぎるというのが多くの人が語る人生。
 ぜひ、この小さな故郷に帰る旅の中で、まだ自分が何者でもない、けれども、確かに世界の中心に自分がいるということを感じてほしい。すべてはそこからで、まだ環境に毒されていない純粋な目と心で、掴み取ってほしい感覚です。この旅で自分に向き合う大切さを学ぶことは生涯の宝になると思います。

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