ABCネットニュースNETNEWS

(発行日 2026年10月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


  税務相談について考えてみたいと思います。税務相談とは、単に税金の知識を教えてもらう場ではありません。抱えている不安や迷いを安心して打ち明けられる場となります。
 お客様の多くは税金の仕組みに詳しくありません。何が分からないのかすら言葉にできない状態で相談にいらっしゃることもあります。だからこそ、じっくり耳を傾け、複雑な状況や本当の意図を汲み取ってもらえると心から安心できるのです。また、難しい専門用語ではなく、自分たちの立場に寄り添った言葉で選択肢やリスクを説明することで、初めて納得して決断を下すことができるようになります。
 さらに、大切な財務情報や個人的な事情が絶対に外へ漏れないという揺るぎない安心感や、やり取りの記録をしっかり残してくれる誠実さがあるからこそ、一生のパートナーとして信頼できるのです。疑問を解消するだけでなく、寄り添う姿勢で不安を安心に変えてくれること・・それこそが、お客様から見た税務相談の本質です。

 

今月のトピックス

最近の税務調査

税理士  坂部 達夫  


1.平成23年 国税通則法改正による「税務調査」の変化

 平成23年の改正は、従来の「行政慣行」で行われていた税務調査の手続を初めて法律上明確化し、調査の透明性と納税者の予見可能性を高めた歴史的転換点でした。

① 事前通知の原則義務化
 納税者や税務代理人に対し、調査の目的・対象税目・対象期間・帳簿書類等をあらかじめ通知することが法律で定められました(無予告調査は一部例外のみ)。

② 物件の預り手続の厳格化
 帳簿書類等を持ち帰る(留め置く)場合、「預り証」の交付が義務化され、納税者の承諾が必須となりました。

③ 調査終了の手続と理由附記の拡大
 非違事項がない場合は「是認通知書」を書面で交付する手続が整備されました。また、更正処分等を行う際の理由附記義務が原則全納税者に拡大され、課税庁の説明責任が著しく強化されました。

2.最近の税務調査の動向:AI活用と「KSK2」への移行

 近年、国税庁はデジタル・トランスフォーメーション(DX)を急速に推進しており、税務調査の実務は「人間の経験と勘」から「データサイエンス」へとシフトしています。

① AIによる調査選定の高度化
 国税庁は法人税部門の「結(ゆい)」や所得税部門の「SAT」といったAI選定ツールを導入しています。過去の申告データ、法定調書、業界平均、さらにはSNSやインターネット情報等をAIが包括的に解析し、「申告漏れリスク」をスコアリングして優先的に調査対象を抽出しています。

② 実地調査件数の抑制と追徴税額の増加
 AIによる高精度なターゲティングにより、実地調査の件数自体は過去より絞り込まれつつも、1件当たりの追徴税額や申告漏れ把握割合が過去最高水準を記録しています。効率的かつピンポイントな追究が行われている証左です(ただ、最近の坂部の感覚や同業者からのヒヤリングによると調査件数は増加しています)。

③ 次世代国税総合管理システム(KSK2)の始動
 税目別に管理されていたデータベースの一元化が進み、法人税・所得税・消費税・相続税をまたいだ「税目横断的な不整合」がAIによって一瞬で検知される環境が整いつつあります。

3.税理士法人坂部綜合会計・顧問先が講ずべき対策

 AI時代における税務調査対策は、「調査が来てからどう守るか」から「普段の申告データをどうAIに耐えうるものにするか」へと根本的に変化しています。

① 「異常値」と「税目間矛盾」の事前セルフチェック
 同業他社比較での粗利率の不自然なブレ、特定経費の急増、法人税と消費税の売上計上タイミングのズレなど、AIが検知しやすい指標を申告前に自社・自法人内で網羅的にスクリーニングすることが不可欠です。 

② 「説明可能な根拠資料」のタイムリーな保存
 AIが疑義を抱くのは「数値の歪み」です。理由のある経費増や取引形態の変更については、契約書、価格決定の経緯、議事録などのエビデンスをリアルタイムで整備・保存しておくことがとても大事になります。

③ 書面添付制度(注)(税理士法第33条の2)の活用
 申告書作成にあたり、計算・整理した事項や前年同期比の変動理由を書面添付で明確に開示しておくことで、AIが弾き出した問題点に対して「調査前の意見聴取段階」で疑問を解明し、不要な実地調査を回避する効果が高まります。

(注)書面添付とは、税理士法に定められている、税理士が発行する申告書の「品質保証書」です。
 どのような資料を確認し、どう計算・判断したかを記録した書面を、申告書と一緒に税務署へ提出します。
 メリットは以下の2点です。
(1)実地調査を回避しやすくなる
 税務署は会社へ直接調査に行く前に、まず税理士とだけ面談(意見聴取)しなければなりません。税理士の説明で疑問が解ければ、実地調査自体が取りやめになります。
(2)銀行や税務署からの信用が上がる
 税理士が細部までチェックした正しい申告書だと証明できるため、融資の審査等でも評価が高まります。
 税理士法人坂部総合会計では、関与年数・巡回監査の程度などを勘案して積極的に添付を推進しています。



私のオススメ       「 深谷駅 」

 
 JR高崎線の深谷駅は、外観がとても印象的な赤レンガ調の橋上駅です。東京駅に深谷産のレンガが使用されたことから東京駅をモチーフに建てられたそうで、中央の塔や左右に広がる建物の構成でレンガのまちを象徴する駅舎は、関東の駅百選に選ばれています。
 渋沢栄一生誕の地でもある深谷は、市内には文化遺跡や施設などが点在しており、深谷市の中心市街地を貫く中山道は今でも歴史的な建物が多く残っています。街並みを眺めながらのんびり散策はいかがでしょうか。



 

あとがき
 この時期になると、店頭に並んでいる「栗」のお菓子を素通りできず、ひとり葛藤している。年齢的にも検診結果でも甘いものは控えなければならないが、我慢してストレスを貯めるより、好きなものを食べて・・そう、みんな同じ、ただの言い訳である。(喜志)


社長メニュー(ASP版) 毎月更新!お役立ちコーナー

戦略経営者システムQ&A 補助金・助成金情報

経営革新等支援機関

ページ
最上部
TOP
PAGE
Mail